自社の強みを活かしたい

中小企業の経営者のためのマーケティングコラム

Marketing Step

2026/8/25 01:14

AI検索対策:上位を狙うより、名前を覚えてもらう

「上位に出ない」は、順位の話ではありません

前回の記事で、AI検索の広がりによって、検索からホームページへの流入が減り続けているという話を書きました。

ここで一度、はっきりさせておきたいことがあります。

検索で上位に表示されないというのは、順位が下がったという話ではありません。

お客様が何かを調べたとき、画面の上半分はAIの回答で埋まります。そこに載らなければ、その人はもうスクロールしません。つまり、

お客様の選択肢から、そもそも消えている。

これが今起きていることです。比較して選ばれなかったのではなく、比較の対象にすら入っていない。ここが従来の「順位が下がった」とは決定的に違います。

しかも、広告に逃げても同じことが起きています

「では広告を出せばいい」と考えたくなります。私たちもそう思いました。

ところが、その逃げ道も細くなっています。

Seer Interactiveが2024年6月から2025年9月にかけて調査した結果では、AIによる要約が表示される検索において、広告のクリック率は19.70%から6.34%まで落ち込みました。3分の1以下です。AIの回答が画面上部を占めることで、広告そのものが下へ押し下げられているためです。

さらに費用の面でも、2026年第1四半期の検索広告の平均クリック単価は前年同期比で12%上昇し、2021年以来もっとも大きな上げ幅となりました。AIによる要約で自然検索のクリックが減った企業が、こぞって広告に流れ込み、枠の奪い合いが激しくなっているためです。

※いずれも米国のデータですが、同じ仕組みが日本でも進行しています。

整理すると、こういう状況です。

無料の枠(自然検索)が縮み、有料の枠(広告)も同時に縮み、単価だけが上がっている。

減った流入を、お金で買い戻すことが難しくなってきたということです。ここが、数年前までの「順位が落ちたら広告で補う」という考え方が通用しなくなった理由です。

残された道は、探される前に覚えてもらうこと

では、どうするか。

前回の記事では、目標を「検索順位を上げること」から「指名検索を増やすこと」に置き換える、という話をしました。会社名で検索してもらえれば、AIの要約に埋もれることなく、自社のページにたどり着いてもらえるからです。

ただし、ここには前提があります。

指名検索は、社名を知っている人しか使えません。

名前を知らなければ、そもそも検索窓に打ち込めない。当たり前のことですが、ここが抜けていると「指名検索を増やそう」という目標は空回りします。

そして検索は、需要が生まれた後の場所です。「多治見 ホームページ制作」と打つ人は、すでに必要性を感じている人です。逆に言えば、今その必要を感じていない人には、検索経由では一生会えません。

厄介なのは、その人がいつか必要性を感じたときです。

頭の中に会社名が一つも浮かばなければ、その人はまた検索窓に一般的な言葉を打ち込みます。そこにはAIの回答が表示され、限られた数社が並びます。

選ばれないのではなく、思い出されない。

だからこそ、必要性が生まれる前の段階で、名前に触れてもらっておく必要があります。

今日の課題は、ここです。

どうやって、社名を覚えてもらうのか。

テレビCMと同じことを、予算をかけずにやる

私たちがテレビCMの企業名を覚えているのは、内容が特別に優れているからではありません。

探していないときに、繰り返し目に入るからです。

必要になったとき、頭の中に最初に浮かぶ。CMがやっているのはそれだけです。

同じことを、広告費をかけずにやれる場所が、今はSNSしかありません。フォローされていれば、相手が探していなくてもタイムラインに流れます。検索とは逆方向のアプローチです。

中小企業が比較的取り組みやすいものを挙げると、次のようになります。

Instagram:写真や動画で、施工事例、商品、店舗、人を見せやすい。保存や再訪も期待できる。

Facebook:地域や経営者同士のつながりの上に乗るため、既存の関係から広がりやすい。

Threads:短い文章が中心で、制作の負担が最も軽い。考え方や視点を出しやすい。

YouTube:説明が必要な商品や、実際の現場を伝えやすい。一本あたりの負担は重い。

TikTok:これまで接点のなかった層に届く可能性がある。当たり外れの幅は大きい。

Googleビジネスプロフィール:ただしこれは性格が違います。ここに来るのは「もう探している人」なので、認知を広げる場ではなく、見つけてもらった後に信頼してもらう場です。重要ですが、今日の話とは役割が別です。

大切なのは、「SNSをやるか、やらないか」という二択ではないということです。どの場所で、誰に、名前を覚えてもらうのかという選び方をする必要があります。

ただし、出せば覚えてもらえるわけではありません

ここからは、私たち自身の失敗の話です。

弊社では2023年頃まで、Instagramで「気づき」やノウハウを中心とした投稿を続けていました。5枚のスライドにまとめる形式で、内容としては役に立つものだったと思っています。

その後しばらく投稿を休み、今年の春から再開しました。

ところが、以前と同じ考え方で投稿しても、閲覧数も反応も伸びず、フォロワーはむしろ減っていきました。

もちろん、原因が投稿内容だけとは限りません。長く休止したこと、動画中心への移行、表示の仕組みの変化など、他の要因も考えられます。それらを差し引いたうえで、それでも内容面で一つ言えることがあります。

毎回テーマが違っていて、戻ってくる先がなかったということです。

今週は写真の撮り方、来週は文章の書き方、その次はSEOの話。一つひとつは役に立つ内容でも、読み終わった後に残るのは情報だけで、それを言っている会社は残りませんでした。

役に立つ情報を出すことと、覚えてもらうことは、別の作業だったのです。

しかも今は、一般的なノウハウならAIに聞けばすぐに出てきます。「〇〇するための5つのポイント」を、きれいにまとめて投稿するだけでは、覚えてもらう理由になりません。

覚えられるのは「内容」ではなく「何屋か」

では、何を覚えてもらうのか。

投稿の内容そのものではありません。覚えてもらうのは、

どこの、誰に、何を提供している会社なのか。

この一文です。

そして重要なのは、投稿ごとにテーマが変わっても、読み終わったときの印象が毎回同じ場所に戻ってくるように作ることです。

表現の仕方は媒体ごとに変わって構いません。Instagramでは写真とスライド、Threadsでは短い文章、YouTubeでは実際の作業風景。形は違っていても、受け取る側が感じ取るものは同じである必要があります。

ここが揃っていないと、投稿を何十本積み重ねても、記憶の中で一本の線になりません。

私たちの5枚シリーズに欠けていたのは、まさにここでした。

だから、投稿を作る前に「軸」を決める

多くの場合、順番が逆になります。

まず媒体を決めて、それから「何を投稿しよう」と毎回悩む。これだと投稿ごとに内容がぶれて、結局どんな会社なのかが伝わりません。

先に決めるべきは、媒体ではなく軸です。

誰に届けたいのか。 何を提供している会社なのか。 その人はどこにいるのか。 自社では何なら続けられるのか。

この4つを、頭の中ではなく文章として書き出しておくことをおすすめします。

一度書き出しておくと、その後がかなり楽になります。投稿文の下書きも、画像に載せる言葉も、その文章を土台にすれば方向がぶれません。AIを使って効率よく進める方法もありますが、具体的なやり方は改めて別の記事で紹介します。

まず一媒体で始める。反応を見る。改善する。必要ならもう一つ増やす。この順番で十分だと考えています。

投稿画像や投稿文の制作負担を、軽くするためにやること

発信を続けるうえで、実際に一番時間がかかるのが投稿の制作です。弊社でもここがネックになっていますし、お客様からも同じ声をいただきます。

「やったほうがいいのは分かっている。ただ、そこに割ける人手がない」

社内に人を雇い、社会保険まで負担して発信体制を整えるのは、今の時代なかなか現実的ではありません。だからこそ、AIを活用して制作の負担を下げる前提で組み立てる必要があります。

弊社で実際に行っている対策をご紹介します。

1. 軸を書いたものを、毎回AIに読ませる

前の章で書いた4つの答えを文章にしておき、投稿文を作るたびにそれをAIに渡します。毎回ゼロから説明しなくて済むうえ、内容がぶれません。ここが一番効きます。

2. 一つの内容を、媒体ごとに作り直さない

コラムを一本書いたら、そこからInstagramのスライド、Threadsの投稿へ展開します。媒体ごとにネタを考えるのではなく、一つの内容を形だけ変えて配るという考え方に切り替えます。

3. 対象を絞って、テンプレートを用意する

画像制作で手が止まる最大の原因は、誰に向けた投稿かによって見せ方が変わることです。対象を絞り込んだうえで、その型をCanvaなどでテンプレート化しておけば、毎回ゼロから悩む必要がなくなります。

このあたりは弊社でも運用しながら検証を続けているところなので、実際の結果は改めてこのコラムで報告します。

次回:最初に見てもらうための「フック」

軸が決まっても、最初の一瞬で止まってもらえなければ、そもそも読まれません。

他社の投稿を改めて研究してみると、漫画で一瞬で内容を伝える、ビフォーアフターで結果を見せる、冒頭で悩みに強く触れる、利用者の声から始める、個人を前面に出す——単に「役立つ情報を出す」だけではない工夫がいくつもありました。

次回は、この「最初に見てもらうためのフック」について考えてみます。

自社の軸を、一緒に言葉にしませんか

私たちは、中小企業の「誰に、何を、どう伝えるか」を一緒に整理する仕事をしています。

何の専門家として見せるべきか。どの言葉なら覚えてもらえるのか。どの媒体に出すべきか。その段階からのご相談で構いません。

今のホームページと、これまでの発信内容を見せていただければ、どこに強みが眠っていて、それをどう言い換えれば伝わるようになるかをお伝えします。

今日の一歩が明日の成果につながりますように。

参考データ

•   Seer Interactive「AI Overview表示時の有料検索パフォーマンス調査」(2024年6月〜2025年9月)

•   WordStream「Google Ads Industry Benchmarks」(2026年第1四半期、米国)

− Profile −

Makiko Kato

有限会社ドリームワークス代表

企画を立案する面白さに取りつかれ地元女性むけのライフスタイルマガジンを20年間発行してきました。
一生懸命やりすぎて、Webマーケティングの波に乗り遅れ、そこからSEOやWeb解析を猛勉強。
現在は、中小企業の“本当の強み”を整理し、ホームページ・SNS・紙媒体まで一気通貫でサポート、ブランディングと集客改善を伴走しています。
「どんな会社にも、その会社らしい魅力がある」
その価値を伝わる形に整えることを大切にしています。

【資格】

・経済産業省 SEMサポーター
・AB3Cファシリテーター
・Web解析士
・SEOコンサルタント
・ブランドマネージャー2級
・NLPマスタープラクティショナー

中小企業の強みを整理しブランドと集客の仕組みを育てる。
社外マーケティングパートナー

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