自社の強みを活かしたい

中小企業の経営者のためのマーケティングコラム

Marketing Step

2026/8/26 01:57

認知を効率よく広げるために、発信量を増やす前に決めておくこと

前回の記事では、AI検索によって検索からの流入だけに頼ることが難しくなる中、「探される前に名前を覚えてもらう」ことの重要性についてお伝えしました。

では、どうすれば覚えてもらえるのか。

Instagram、Facebook、Threads、YouTube、TikTok。今は企業自身が情報を発信できる場所がたくさんあります。まずはここで発信量を増やしていくこと。これが出発点になります。

ただし、発信すれば覚えてもらえる、というわけではありません。

投稿は増えている。更新も止まっていない。それなのに「何の会社だったか」が残らない。認知を広げようとする企業が、かなりの確率でぶつかる壁です。

私たち自身、自社の発信を見直す中でこの問題にぶつかりました。今回は、限られた人数でも認知を積み上げていくために、投稿を作り始める前に決めておくべきことについて書いてみます。

一度見てもらっただけでは、なかなか覚えてもらえない

まず前提として、認知には「量」が必要です。

一度Instagramを見てもらった。一本のYouTubeを見てもらった。一つのコラムを読んでもらった。それだけで会社名まで覚えてもらえることは、そう多くありません。

もちろん、圧倒的に目を引くデザインや企画があれば、一度で強く印象に残ることもあります。テレビやメディアに取り上げられ、一気に多くの人に知られるケースもあります。

しかし、多くの中小企業にとって、それを毎回狙うのは現実的ではありません。

結局必要になるのは、

何度も接触してもらうこと。

そして、

同じ価値を伝え続けること。

だと考えています。

では、どのくらい続ける必要があるのか。

以前、ある工務店さんの支援で、新しく出す住宅商品の名前をSNSで発信し続けたことがあります。特別なことはしていません。同じ商品名を、同じ価値とセットで、繰り返し出し続けただけです。

変化が見えたのは、1年後でした。

サーチコンソールを確認すると、検索キーワードの中にその商品名が並ぶようになっていました。誰かがその名前を直接入力して、探してくれている。ようやくそこまで来た、という感覚でした。

発信の頻度ややり方によって変わる部分はありますが、名前を覚えてもらうというのは、それくらい時間がかかります。逆に言えば、今日始めなければ、1年後も同じ場所にいることになります。

そしてこの事例には、もう一つ気づかされたことがあります。

検索されていたのは、会社名ではなく商品名でした。

興味を持った人は、必ずしも会社名で探してくれるわけではありません。自分が関心を持ったもの、印象に残ったものの名前で探します。だからこそ「何の名前で、何とセットで覚えてもらうのか」を、先に決めておく必要があります。

ここまでは、おそらく多くの方が納得されると思います。問題はこの先です。

発信量を増やすほど「ブレる」という問題が起きる

発信量を増やすことは大前提です。その上で、注意しておきたいことがあります。

発信を増やすほど、表現や伝える軸がブレていき、結局何の会社だったのかを覚えてもらいにくくなる。

すでに投稿を続けていて担当者が複数いる会社なら、人によって少しずつ言っていることが違う、と感じたことがあるかもしれません。そして、これから発信を増やそうとする会社にも、同じことが起こります。

理由ははっきりしています。発信量を増やそうとすればするほど、制作に関わる人が増えていくからです。

社長。社内の担当者。Web制作会社。デザイナー。カメラマン。ライター。SNS運用担当者。

そして現在なら、AIもその中に入ってきます。

一人で全部を作っているうちは、本人の頭の中にある感覚で統一できます。しかしチームで運用するようになると、

担当者によって言っていることが違う。

デザイナーによって雰囲気が変わる。

Instagramとホームページで印象が違う。

AIに作らせるたびに文章の方向性が変わる。

ということが起こります。さらに担当者が交代すれば、それまで積み上げてきた発信の方向性そのものが変わってしまうこともあります。

私たち自身も、この問題を実感しています。

現在、このコラムやSNSの投稿を作る際に、AIを使う場面が増えてきました。方向性を伝えて下書きを作ってもらい、それを自分たちで整えていくという流れです。

作業のスピードは確実に上がりました。ただ、出てきた文章を読んで手が止まることが何度もありました。

内容としては間違っていない。読みやすい。それらしいことも書いてある。

でも、これは私たちが言う必要のある文章なのか。

原因ははっきりしていました。私たちがAIに「自分たちがどういう会社なのか」を渡していなかったからです。渡していない以上、AIは一般論を返すしかありません。

そしてこれは、AIに限った話ではありませんでした。外部のデザイナーに依頼するときも、新しい担当者に投稿を任せるときも、まったく同じことが起きます。渡すべき基準が言葉になっていなければ、毎回その人の解釈で作られていきます。

発信を増やすほど、ブランドがバラバラになる可能性も高くなる。

しかも、投稿した数だけバラバラな印象が積み上がっていきます。せっかく手間をかけたのに、認知としては積み上がらない。これが一番もったいない状態です。

一方で、伝えるべきことそのものは、媒体が増えても担当者が増えても変わりません。

何を提供し、どんなスタンスで取り組み、お客様にどんな価値を感じていただいているのか。

つまり、自社が何者で、どう認知されたいのか。ここにフォーカスし続けられるかどうかで差がついていきます。

だから「何を投稿するか」の前に決めることがある

Instagramに何を投稿しよう。YouTubeで何を話そう。Threadsに何を書こう。

発信を始めると、どうしても「次のネタ」に目が向きます。しかし、その前に決めておかなければならないことがあります。

私たちは何者なのか。

誰に価値を提供する会社なのか。

何を大切にしているのか。

他社とは何が違うのか。

そして、

お客様に何の会社として覚えてもらいたいのか。

ここが決まっていなければ、いくら発信しても一つひとつが点のままです。反対に、ここが決まっていれば、テーマや媒体が変わっても一本の線につなげることができます。

役立つのは、これを頭の中に置いておくのではなく、文章として書き出しておくことです。呼び方はいろいろありますが、例えば「ブランドステートメント」と呼ばれるものがこれにあたります。

難しい文章を作る必要はありません。

誰のための会社なのか。

どんな問題を解決するのか。

どんな価値を提供するのか。

何を大切にしているのか。

何が他社と違うのか。

何の会社として覚えてほしいのか。

こうしたことを、経営者の頭の中だけではなく、チームで共有できる言葉にしておきます。

すると新しい投稿を作るときにも、

「これは私たちが発信すべき内容なのか?」

と判断できるようになります。担当者が変わっても、制作会社が変わっても、AIを使っても、戻ってくる基準があります。

対象によって表現は変えていい。でも「提供価値」は変えない

ここで一つ大切なのは、

すべての人に、まったく同じ表現で発信する必要はない

ということです。

例えば同じ商品でも、男性に伝える場合と女性に伝える場合では、興味を持つポイントや表現方法が違うかもしれません。経営者と現場担当者でも、知りたい情報は違います。InstagramとYouTubeでも、適した伝え方は違います。

だから、写真。動画。言葉。見せ方。切り口。

これらは、対象や媒体に合わせて変えて構いません。

しかし、その奥にある、

「自社は誰の、どんな問題を、どんな価値によって解決する会社なのか」

まで変えてはいけません。

表現は変える。でも、提供価値の軸は変えない。

この状態を作ることが、複数の媒体で幅広いユーザーに接触しながら、一つのブランドとして覚えてもらうためには重要だと考えています。

ブランドの軸は「縛るため」ではなく、発信を増やすために作る

ブランドのルールを決めるというと、

「自由に発信できなくなる」

と思うかもしれません。しかし、私たちは逆だと考えています。

軸がない状態では、毎回、

「今回は何を言おう」

「この表現でいいのか」

「うちの会社らしいのか」

とゼロから考えなければなりません。この「毎回ゼロから考える」ことが、発信が続かない原因の一つでもあります。

軸が決まっていれば、

この範囲なら自由に展開していい

という判断ができます。

Instagramでは写真で見せる。Threadsでは考え方を書く。YouTubeでは詳しく説明する。コラムでは専門性を深掘りする。対象によって切り口を変える。

一つの軸から、さまざまなコンテンツを作れるようになります。

つまりブランドの軸を決めることは、発信を制限するためではなく、発信の量を増やしながら一貫性を保つための土台でもあります。

認知を作るなら「一発」ではなく「積み重ね」を設計する

検索からの流入が減っているからSNSを始める。

Instagramが伸びないからYouTubeを始める。

YouTubeが大変だからThreadsに移る。

これを繰り返しているだけでは、なかなかブランドは積み上がりません。

媒体はあくまで手段です。重要なのは、

誰に、何の会社として覚えてもらうのかを決め、その価値をさまざまな場所で繰り返し伝えること。

そのためには、発信の量が必要です。継続も必要です。そして、量を増やしてもブレない軸が必要です。

私たち自身も現在、自社の発信をこの部分から見直しています。

[※ここに、実際にやってみたことを一段落。例:自社の強みを書き出そうとして手が止まった、過去に断った仕事を並べてみて初めて自社の判断基準が見えた、など。具体的な作業と、そこでつまずいた点が入ると説得力が上がります]

何を発信するかを考える前に、自社は何者なのか。誰に何を提供するのか。何を大切にするのか。何を覚えてもらうのか。

これを改めて言葉にする。その上で、Instagram、Threads、YouTube、コラムなどへ展開していきたいと考えています。

次回は「誰が作り続けるのか」を考えます

ただし、ここまで決めても、もう一つ大きな問題が残ります。

誰が、これだけのコンテンツを作り続けるのか。

中小企業には、発信だけを担当する大きなチームがあるとは限りません。次回は、ブランドを崩さずに発信量を増やすための、具体的な仕組みについて考えてみたいと思います。

認知を作るには、発信し続けなければならない。

だからこそ、その前に、

「何を言い続ける会社なのか」を決めておく。

これが、これからの中小企業のブランドづくりでは重要になると考えています。

− Profile −

Makiko Kato

有限会社ドリームワークス代表

企画を立案する面白さに取りつかれ地元女性むけのライフスタイルマガジンを20年間発行してきました。
一生懸命やりすぎて、Webマーケティングの波に乗り遅れ、そこからSEOやWeb解析を猛勉強。
現在は、中小企業の“本当の強み”を整理し、ホームページ・SNS・紙媒体まで一気通貫でサポート、ブランディングと集客改善を伴走しています。
「どんな会社にも、その会社らしい魅力がある」
その価値を伝わる形に整えることを大切にしています。

【資格】

・経済産業省 SEMサポーター
・AB3Cファシリテーター
・Web解析士
・SEOコンサルタント
・ブランドマネージャー2級
・NLPマスタープラクティショナー

中小企業の強みを整理しブランドと集客の仕組みを育てる。
社外マーケティングパートナー

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